商圏とは、一般的には「小売店舗の影響が及ぶ範囲」すなわち小売商圏の営業範囲(エリア)と解釈しても差し支えありません。通常小売商圏という場合、「都市小売商圏」「特定商業集積の小売商圏(大型店・商店街)」「個別店舗小売商圏」とに分けられます。
都市小売商圏という場合は、都市と都市との力関係を意味し「人口・商店数・産業構造」で大きく左右されます。コンパースが都市小売商圏の研究者として有名です。特定商業集積の小売商圏は、大型店や商店街等の商業集積地の小売商圏を意味しています。デービット・ハフが主たる研究者です。皆様も一度は、耳にした名前だと思います。個別店舗小売商圏は、買物調査や得意先管理を実施していれば、充分把握できると思います。
また商圏は、次のような性格を持っています。第一に、商圏は固定されたものではなく、常に流動しています。従って、新しい競争相手の出現や商店街の整備、道路整備や新しい道路の完成により、「拡大」や「縮小」を繰り返しています。
第二に、商圏は「面」的な広がりを持つと同時に、「質」的な広がりを持っています。面的な広がりとは、顧客の分布範囲であり、これまで述べてきたところの「小売店舗の影響が及ぶ範囲」ということになります。質的な広がりとは、商圏の厚みを意味します。従って、「購買頻度を高める」ことにより商圏の質的拡大が図れます。小商圏や限定商圏の場合、経営戦略は商圏の面的拡大を目指すより、ライフステージやライフサイクルを考えて、ターゲットを絞り商品戦略やきめ細かなサービスを提供し、来店頻度を高める工夫が必要になります。